ふたりでした約束が守られなかった時、どうしますか。できない事は約束しないのが一番ですが、万が一約束を守れなかった場合に備え、罰則などを決めておくのもいいでしょう。 文 例 「夫婦の約束が守られず、改善が見られない場合、離婚します。」「〜について約束が破られた場合、離婚の協議を進めることに同意します。」 ※ この項目も、記載の仕方によっては、効力が認められません。離婚は、夫婦が合意すればいつでもできますが、たとえ婚前契約書で定めても、一方が離婚したくないと言い続けた場合、合意による離婚(いわゆる協議離婚)はできません。婚姻契約書に基づいて、即離婚、というのも認められないと考えられます。結局のところ、調停や裁判になったときに考慮されるに過ぎない可能性が高いです。約束を破った側が不利になる可能性が高い、という程度の理解にとどめておきべきだと思います。(管理人談) |
約束が守られなかったこと(契約不履行、債務不履行)による罰金(損害賠償)を、決める方もいます。たとえば「浮気をしたら、配偶者に100万円支払う」など、具体的に決めていきます。損害賠償についての記載は自由ですが、夫婦間においては、民法754条【夫婦間の契約の取消権】があるので、ご注意ください。 契約書に記載することで、お互いの意識を再確認する役目を果たす効果もあります。 文 例 「夫と妻は、お互いに信頼を失うような行為はしません。」「夫婦間の約束を破った者は、相手に〜万円を支払うものとします。」 「相手より請求があった場合、〜日以内に支払います。」 「契約を履行しなかった者は離婚および住居の明渡しに同意します。」 ※ この項目も、記載の仕方によっては、効力が認められない可能性があります。公証人の中にも金額の記載があると公正証書化を認めない方もいます。約束を破った側が観念して支払ってくれたらよいのですが、支払ってくれない場合、婚前契約書だけで強制執行をすることはできないでしょう。あくまで「裁判になったら不利になって負けるだろう」という心理的な圧迫から、罰金の支払いを促す効果があるにすぎないと考えておく方がよいでしょう。(管理人談) |
もしかしたらの「離婚」についても、ふたりで話し合っておきましょう。ただし、慰謝料や養育費などは、まだ現実的でないため、金額まで決めておかなくてもいいでしょう。財産は、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も対象になります。また、妻が専業主婦であっても、原則2分の1ずつの分与が原則です。 ・合意による離婚 ・慰謝料の請求 ・共有財産の財産分与 ・年金分割 ・公正証書の作成 ・子どもがいる場合、親権と養育費 文 例 「夫と妻は、離婚の話が出た場合、お互いに具体的に協議します。」「離婚が決まった際は、公正証書による離婚協議書を作成します。」 「離婚する原因を作った側が、相手に〜万円支払います。」 「財産分与額は、離婚協議によることとします。 原則、全財産の5割ずつとします。」 「共有財産は2分に1ずつ分与し、 離婚原因を作った方は、別途慰謝料を支払います。」 「年金分割は、原則5割ずつとし、詳細は離婚協議書で決定します。」 ※ 離婚の慰謝料や養育費の具体的な金額を定める婚前契約書を作りたいという相談も全国からたくさんいただいております。実際に、お作りになられた方もいます。特に東京などの大都市では、そういうニーズも高いようです。ただ、例えば浮気をしたことで離婚となった場合、「○億円の慰謝料を支払う」と決めて記載していたとしても、年収500万の夫に対して、そのような支払いは不可能であるし、裁判で争っても認められない可能性が高いと思われます。今までの婚姻契約書のケースからすると、富裕層の方が離婚の慰謝料の上限を定めたい場合に意味があるなと感じました。実際にあったケースでは、相場より高めの慰謝料を上限に設定することで、ごっそり慰謝料をとられないようにする、という趣旨のものでした。ただ、経済的に格差があるカップルの場合、相手に対して高額な慰謝料を定めても効力については疑問があり、裕福な側が片務的に考えておくべきではないかと感じております(※管理人談、個人的見解の部分有り。) |